60億個のほんのちょっとの愛と勇気とその優しさで

rex-note

中学2年のころ、ウォークマンの中に入れてよく聴いていた曲がある。
ポップなリズムで、語感の良いサビはすぐに口ずさめる。
でも、当時の自分はその“意味”をほとんど分かっていなかった。

15年経った今、その曲をもう一度聴いてみた。
涙が出るほどエモかった。いや、エモすぎた。

こんなにも汚い世界にしてくれて、どうもありがとう。
大人になったからなのか、俺はこのラインに、妙なリアリティを感じてしまう。

中2のときに信じていた世界

15年前、「世界は少しずつ良くなっていく」とどこかで信じていた。
けれど、現実は違った。

人類の歴史が何年、何千年と流れても、搾取の構造は壊れない。
誰かの不幸の上に誰かの幸福が積み上がっていく。

現代は、SNSが筆頭となり、安全圏から口出しをする機会が増えた。
人と人との距離は、むしろ遠くなっている。

「人類全員が幸せになる方法」は、いまだ見つかっていない。

それでも「分かり合いたい」と思ってる俺たちへ

俺は誰より俺を
君は誰より君を
だけど分かり合いたいの 俺は誰よりも君と

RADWIMPS『ジェニファー山田さん』より引用

この歌詞に、すべてが詰まっている気がした。

人間は利己的な存在だ。
でも、本当に求めているのは「他者と分かり合いたい」という願いだと思う。

誰かを愛したい。受け入れたい。
でも怖いし、うまくできない。
だからこそ、「分かり合いたいの 俺は誰よりも君と」という言葉が痛いほど刺さる。

愛は技術だ

エーリッヒ・フロムは言った。

愛は感情ではなく、意思であり、決断であり、技術である

愛とは落ちるものではなく、育てるもの。
たまたま出会った相手と自然に分かり合えるなんてことは、めったにない。

分かり合いたいと願うなら、愛そうとする自分の覚悟を信じるしかない。
誰かの痛みに寄り添い、時に傷つけられようとも。「それでもなお」信じるしかない。
愛するという行為そのものを。

愛を、誰かのための「部屋」に

これは、現代で失われつつある姿勢だと思う。
他人を愛すること。
誰かのために、心の中に「部屋」を用意すること。

それが“愛”の本質じゃないかと、この曲は言っている。

60億個の愛で、世界は変わるのか

60億個のほんのちょっとの愛と勇気とその優しさで
「これだけキレイな世界になったね」って言ってみたいの

RADWIMPS『ジェニファー山田さん』より引用

この部分を聴いたとき、15年前の自分が笑ってた顔を思い出した。
「いつか大人になったら、もっと優しい世界になるんじゃないか」
そう期待していたあの頃。

今の世界は、きっとまだ汚い。
でも、それでも、まだ変えられるって思いたい。

15年前は60億だった世界の人間も、今は80億を超えた。
ならば、80億個のほんのちょっとの愛と勇気とその優しさで、きっと世界は変えられる。

さいごに

愛を誰かのために
誰かのための部屋を心に

RADWIMPS『ジェニファー山田さん』より引用

その部屋を、心のどこかに持っていたい。
怒りを誰かのために使って、
愛情は他人と分かち合いたい。

誰かのための部屋が、世界中の心にひとつずつあれば、
世界は、きっと、少しだけキレイになる。

そしてそれは、
15年前のあの日にウォークマンでこの曲を聴いていた俺が、
今の俺に届けてくれたメッセージなのかもしれない。

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