やさぐれ哲学研究会

ネコバスが見えない社会人は、どこで降りればいいですか?

rex-note

バスという乗り物には、公平さがある。
お金さえ払えば、誰でも乗れる。
だからこそ、バスは”公共”なのだ。

しかし、である。

ネコバスは、どうなのか。

あいつはバスを名乗っているくせに、来る人間を選んでいる。
「見える人にしか来ません」って、なんやその独自基準。
おかげで「もっと見えるようになりたい」と願いながら出勤するクセがついてしまった。

……なんで俺にはネコバスが見えないんだ?

これは、ネコバスに乗れない側の、切実な叫びである。

今日はジブリが描いたやさしい世界の裏にある“静かな不平等”について、語らせてもらおう。

バスには乗れるが、ネコには乗れない会社員

毎朝、駅のホームで「今日こそ、ネコバスに乗りたい」と思ってしまう。
満員電車で揉まれながら向かうこの出社バトル、どうやら勝っても給料には反映されないらしい。

──どうも、てぃらのです。

副業と育児とブログに追われ、つり革よりも“理想”につかまりたい社会人です。

「ネコバスが見えない」と嘆いていたけれど、満員電車の窓からネコバスが見えたら、それはそれでイラつくので──見えなくていいや、と思い直しました。

さて本日は、ジブリの名作『となりのトトロ』に登場する、ふしぎな猫型のバスについて語らせてもらいたい。
バスのくせに12本くらい足が生えていて、乗客の“感情”に反応して移動するこの猫のことだ。

・宙を飛び、森を駆け抜け、雨もおかまいなし
・乗客の“感情”を読み取り、ワープ的に移動
・他人からは見えないが、確かに存在している

──完全に“理想のバス”なんですけど。

でも、乗れるのは一部の人間だけ。
作中では、サツキとメイにしか見えない。

ネコバスに乗れること。
それは、“選ばれし者である”ということ。

交通手段が、その人の“属性”で決まる。

それって、もはや「インフラ格差」なんじゃないか?

ネコバス、“公共交通”ちゃうやろ問題

「いやいや、ネコバスってそういうファンタジーやから…」
と、言われそうだ。

でもちょっと待ってほしい。
作中でネコバスがやってることを見てみよう。

・特定の人にしか見えません
感情に反応して目的地が変わります
・障害物があっても駆けあがって飛びます
・行き先が「メイ」です

──これ、もはや“感情認証型ライドシェア”やんけ。

公共交通ってなんだっけ………
行きたいところに、誰でも行けるのがインフラちゃうのか。

選ばれし心の持ち主だけが呼べる、特別なバス。
もはや“選民交通”である。

なんやそれ──
ネコバスってのは、心のGPSなんか?
こっちは圏外やぞ。

ネコバスを呼べる子どもたちがいる一方で、
ネコバスに無視され続ける大人たちがいる。

……不公平じゃないか?
才能とか、心のピュアさとか、そんな“属性”で交通手段が変わる世界って。
選民交通──イクナイ。

だから、考えてみよう。
平等なネコバスを。

年齢も、属性も、感情センサーも関係ない。
アプリひとつで、どこでも呼べる。
そう──“公共”の名にふさわしい、真のネコバスだ。

──「NEKOBUSアプリ」の開発である。

ネコバスがアプリ化されたら地獄すぎる

【アプリ名】NEKOBUS(ネコバス)

・月額1,980円で“乗り放題プラン”
・課金すると「ふわモフシート」優先予約
・最大同時登場人数:12名まで

アプリ起動時にはこう表示される。

「ご利用には“純粋な心”が必要です。おとなしい気持ちでやり直してください。」

レビュー欄もひどい。

  • ★☆☆☆☆  5歳の娘は見えたのに私は無理でした
  • ★★☆☆☆  ネコのくせに予約制とはどういうこと?
  • ★☆☆☆☆  乗り過ごして“トトロ山”まで行った。帰り道がない。

Instagramで「#ネコバス女子旅」が流行り、グッズが無限に出る。
そのうち、YouTuberが「ネコバスに24時間乗ってみた」動画を出す。

そして、ネコバスは疲弊し、運転手はストレスで“ネコハゲ”になる。

やがて国が動くだろう。
運行管理法が制定され、登録制になるのだ。

そして、最終的には民間に委託される。

──それはもう、“トトロ”じゃない。 “ネコバス株式会社”である。

ないものねだりは、今夜はやめとこか。

最初は、ネコバスって不平等やなって思ってた。

見える人にしか来ないなんて、ズルない?
でも、もしみんながネコバスに乗れたら──渋滞する。
撮影用に停められて、遅延も発生する。

不平等はモヤるけど、“平等”ってやつも、万能じゃないのか。

みんなに見えるようになった瞬間、
ネコバスはネコバスでなくなるかもしれない。

だから、今はこう思ってる。

ネコバスが来なくても、
こっちはこっちで、電車で行こ。Suicaあるし。

あいつはあいつで、森を駆け抜けてくれたらええ。
私は私で、ギュウギュウの社畜特急に揺られながら、ちょっとだけ夢を見ていたい。

──たまには、見えなくていい世界もあるってことやな。

「見えないネコバス」を羨ましく思うことはあるけど、
見えないからこそ、自分の足で歩くしかない。

その足で、ちゃんと家に帰れてるなら──それでええやん。

見えないことを、悲観しすぎなくていい。
ネコバスは、見える人の特権じゃない。
見えない人にだって、それぞれの“帰り道”がある。

──そう、自分に言い聞かせてみる。

ないものねだりは、ほどほどに。
ふと見上げた夜空にネコバスの影を感じたなら、そのときは、そっと手を振ろう。

「今日も、おつかれさん」って。

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