エミュー戦争──羽毛まみれの仁義なき戦い

ある日、Wikipediaを流し読みしていた僕は、目を疑った。
──え、戦争? 鳥と?
──しかも“エミュー”と?

いやちょっと待て。
ダチョウならわかる。
あいつは“世界最大の鳥類”やし、蹴りも致命傷レベルや。
でもエミューって……え、誰?
そもそもエミューって何者なんや
エミューとは、オーストラリア原産の大型飛べない鳥類。
分類上はダチョウ目エミュー科──そう、あのダチョウの親戚筋である。

出典:ダチョウ – Wikipedia

出典:エミュー – Wikipedia
ちなみにダチョウとの違いはというと
特徴 | ダチョウ | エミュー |
---|---|---|
生息地 | アフリカ | オーストラリア |
身長 | 約2.1〜2.8m | 約1.6〜2.0m |
体重 | 約100〜150kg | 約30〜45kg |
足の指 | 2本 | 3本 |
走行速度 | 時速70km以上 | 時速50km以上 |
飛行能力 | 飛べない | 飛べない |
気性 | 攻撃的 | おだやか |
肉の味 | 赤身強め | やや淡白 |
遠目でみたら違いなんてわかんねぇよ!!!!!!

誰がダチョウじゃ!
──すまんけど、まぎらわしいねん!
開戦はオーストラリアで、敵は羽毛の暴徒たち
1932年、オーストラリアの西部。
第一次世界大戦を終えた兵士たちが開墾していた農地に、約2万羽のエミューが大移動してきた。

草、うますぎワロタ
──彼らは畑を食い荒らし、柵を破壊し、農民の生活をズタズタにした。
農民たちは叫ぶ。

政府よ!この畑を守ってくれ!
政府の返答は──

わかった、軍隊を送ろう。
……え? 軍隊!?
相手、鳥やで?
ルイス機関銃 vs エミュー高速部隊
こうして出動したのが、ルイス機関銃を携えたメレディス少佐率いる軍部隊。
──が。

弾が当たらん…!
エミューは群れで行動するかと思えば、突如バラけてゲリラ戦モード。
草原を時速50kmで駆け抜ける彼らは、もはや羽毛をつけたラリーカーである。
鳥類学者のドミニック・サーベンティー氏は、
エミューの戦術を次のように批評した。
エミューの司令部は明らかにゲリラ戦術を発令しており、
厄介なエミュー軍は間もなく軍備の使用を不経済化する無数の小規模部隊に分裂した出典:Wikipedia
……軍部隊は何と戦ってんの?
「鳥に負けた兵士」爆誕
この軍事作戦、なんと公式記録上「失敗」に終わる。
メレディス少佐の報告書にはこう書かれていた。

1000頭もいたので、機関銃使いました!
駆除できたエミューは、12頭。
もう一度書こう。軍隊は、12頭しか駆除できなかった。

あいつら何しにきたんや…
こうしてエミュー軍は勝利し、人類は撤退した──
羽毛を一枚もむしれないまま。
エミュー戦争って、笑い話でいいん?
なぜこの事件が「伝説」になったかって?
それは、
- 鳥に本気出した
- 兵士が出てきた
- 結果、負けた
という三段落ちが完璧だからである。
でも、当時の農民にとっては笑い事じゃなかった。
畑が荒らされ、生活が脅かされ、本気で国に頼った。
……それに対して出てきたのが、銃を持った軍隊って。
発想が脳筋やったんやな…
この戦争が人類に残したもの
エミュー戦争が教えてくれる教訓は、
今を生きるものに大切なことを教えてくれる。
- 自然は手ごわい。
- 武力で解決できない問題は、いっぱいある。
- 人類は、わりとアホなことも真剣にやる。
そして最後に──

俺ら、まだ負けてへんからな?
エミューは今もそこにいる
この戦争から約90年。
エミューたちは今日も、オーストラリアの草原を駆け抜けている。
彼らは語らない。
だが、僕には聞こえる。

な?言ったやろ。
”飛べない”だけで、弱いとは限らんって。
──うわ、なんかカッコええやん。