恋よりも愛よりも何よりも君がいいんです。

rex-note

中学のころ、ネタ系の曲ばっかり聴いていた時期がある。
理由は単純。「みんなが笑うから」。

クラスで誰かが流せば笑いが起きる。そういう“ウケる曲”が好きだった。
俺もその波にのっかって、ウォークマンに《にっぽんぽん》を入れていた。

ソースより醤油だろ
チーズよりも味噌だろ

味噌汁’s『にっぽんぽん』より引用

語感が良くて、通学中に一人でニヤついてた記憶がある。

そして大人になった今、ふと懐かしくなって聴いてみた。
「久々に笑えるかな」と思って再生ボタンを押したら、
笑うどころか、泣いていた。

この曲は、愛の歌だった。

日本人ならではの「わかる〜」が詰まった、ご飯三杯いける系ソングじゃない。
全然ちがう。
要所要所に笑えるネタがあるのは認める。
ただし、その奥に、とんでもない愛がある。

キスより抱きしめたい
恋よりも愛だろ
恋よりも愛よりも何よりも 君がいいんです

味噌汁’s『にっぽんぽん』より引用

ここの破壊力よ。

誰かと笑い合うだけじゃなくて、
誰かを抱きしめたくなるくらい、大切に思えるって、
たぶんそれが「愛」なんだと思う。

「かわいがってよ 世界中の皆さん」という祈り

この歌の中に何度も出てくるフレーズがある。

かわいがってよ 世界中の皆さん

中学のころは、「なにそれw」と笑ってたけど、
今聴くと、これは祈りなんじゃないかと思える。

不器用で、ちょっとズレてて、
でも必死で生きてるこの国のこの人たちを
どうか、どうか「かわいがって」ください――っていう祈り。

「日本人あるある」の奥にあるもの

「ハイタッチばかり求めないでよ」とか
「正座で怒られる」「ピザはとっておきの日」――

こうした“日本人あるある”は、表面的にはギャグだ。
でも、ギャグとして笑って終わるには、どこか惜しい。

これは、自分たちのことを、自分たちの言葉で面白がるという文化だ。

自虐じゃない。
ちゃんと“わかってる”からこそ、愛情を持ってネタにできる。

世界から見ると不思議で、不器用で、
でもそんな自分たちを、そっと笑って、そっと愛している。

《にっぽんぽん》は、文化の肯定であり、脱構築の歌なのだろう。

“君”は誰か?

「恋よりも愛よりも何よりも 君がいいんです」

この“君”は、きっと特定の誰かじゃなくていい。

恋人でも、親でも、子でも、まだ出会ってない誰かでも。
あるいは、自分自身かもしれない。

それぞれがそれぞれの“君”を思い浮かべながら歌える。
だからこの曲は、ただのラブソングじゃない。
人が人を好きになる気持ちを、まっすぐに歌った歌だ。

カラオケで歌いたいのは、君に向けてのラブソング

これはもう、全日本人のためのラブソングだと思う。

ネタの皮をかぶった、ガチの愛の歌。
だから、好きな人とカラオケに行ったときは、ぜひこの曲を歌ってほしい。
ちょっとふざけたように始めて、最後には真顔で。

君がいいんです

きっと、その場の空気が、すこしだけ優しくなる。

さいごに

LとRが違うように、ノリとワカメも違う。
そのくらい違っていいのだろう、人と人は。

  • ピースより平和だろ
  • チーズより味噌だろ
  • 恋よりも愛よりも 君がいい

こんなにもくだらなくて、
こんなにも深くて、
こんなにも真っ直ぐなラブソングが、この国にあってよかった。

ありがとう、味噌汁’s。
日本を象徴するこの曲を作ってくれたことに、心から感謝を。

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てぃらの🦖
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